「余命宣告をされ、一番つらかったのはあなたなのに…。私たちには明るく振る舞い、毎日を全力で生きたあなた。そんなあなたの生き様を見て、私たち親子も前向きに過ごすようになりましたよ」そう語る奥様は、とても幸せそうに見えました。
「だからこそ、私たちに同情はいらない。笑って、旅立ちを見送りたい」そんな奥様の想いを尊重し、祭壇は明るく、式場内はずっと旦那様に寄り添って、触れていられるように配置し、お棺のふたを外しました。
式場には旦那様の好きなジャズが流れ、飾りきれないほど飾ったご夫婦や家族の写真は、すべて幸せそうな笑顔のものでした。
ご友人から自転車をプレゼントされ、嬉しそうにサイクリングに出掛ける旦那様の写真の前には、組み立てられた自転車。入院してから乗ることができずに解体してしまったけれど、亡くなる前、手を油まみれにしながら組み立ててくれたご友人たちがいたから、また一つ、幸せに過ごせた証を飾ることができました。
集まった親しい方と、旦那様の旅立ちを見送る時間…お別れにはご夫婦の結婚式で流した思い出の曲をもう一度流し、集まった方々の新たな旅立ちの時間ともなりました。
そのかけがえのない時間は、大切にビデオにおさめ、色あせない記憶として残させていただきました。